ミルウォーキー   1997.9

西川和夫

    1997年9月1日の夕方、ジェネラル・ミッチェル(ミルウォーキー)空港までインスーが、わざわざ迎えにきてくれました。スイスから1週間の研修予定で、ついた同年輩のおばさんモニカ(ルヴィンスキーではありません)と一緒です。以後この人とはホテルの部屋が向かいで、共同自炊生活です。たくましくてさわやかで素敵な人です。この後インスーの自宅へとなるのですが、何と彼女も人生で初めてのことと言っていましたが、ハイウェイでガス欠の立ち往生。

通りすがりのシェリフに路上で救援を求めて、インスーがその車で、電話のある所まで連れていってもらって、自宅へ電話。まず、サラとテリーの二人の娘さんが場所を確認しに駆け付け、それからしばらくしてスティーブがガソリンを持ってやっこらしょ。その間、しだいに暗くなっていく空を見ながら、モニカとおしゃべりをしていました。インスーからは、待っている間、ドアを絶対に開けるなと言われてました。しかし、ともあれ一家総出のお世話を初日からかけてしまいました。

この夜は、二人の娘さんたちとも一緒に、スティーブの手作りディナーをご馳走になりました。娘さんもとってもさわやか、素敵な家族です。

9月4日にも自宅近くの心理学者と精神科医の若夫婦と共にディナーに招待され、また、スティーブの手作り料理をいただきました。スティーブは料理が好きなのだそうです。研究所ではボソッとしゃべるスティーブが、料理とジャズの話ではすごく多弁で、エッ!という感じでした。

スティーブは、一見無愛想に見えましたが、ひょいと声をかけてくれたり、文献を手渡してくれたり、彼の飾らない暖かさに触れました。名声とか権威には全く関心がなくて、とにかくクリエイティブに自分の哲学と方法を構築していくのが楽しいようです。

これまでのワークショップでも、いろいろな人たちからすごく暖かく親切にしてもらってありがたい思いをしましたが、BFTCでも、空港への出迎えからディナーに始まって、モニカと共に、こんなことまでしてもらって、本当に良いのかなと思ってしまう扱いを受けています。

インスーが、二日目には隣の長期滞在用ホテルへの引っ越し作業を自らやってくれて、夕方にはセクレタリーのメアリ夫妻(この人たちがまた、 暖かい ! という感じの人)を煩わせて、ホテルからBFTCまでの足にしなさいと、二人分の自転車を届けてくれました。夜には新品のバイクヘルメットとチェーンロックを自分が買ってきて部屋まで持ってきてくれました。びっくりしました。以来、朝夕、あのヘルメットを被ったおじさん、おばさんライダーが連なって走っています。坂では、モニカは、小柄ですがたくましくて、「待ってくれー !」という感じになっています。

スティーブは、5日から8日までロスでのワークショップに出かけています。インスーは8日から10日まで、ワークショップに行って、その後すぐに11日から、14日まで、ニューヨークでのミニューチンセンター主催のビッグカンファレンスに発言者として出かけます。私も、このカンファレンスにスティーブに連れていってもらう事になっています。インスーは次の週も重要なプロジェクトで別の週へ飛びます。その次の週は月末にかけてのBFTCでのアドバンスト・ワークショップです。このワークショップにはインスーからのインフォメーションがあって、最初からアプライしておきました。ITCでのビデオテープが活用できれば良いなと思っています。

研究所にいる間、インスーはビデオ編集、出版原稿編集、セラピー・セッション、国内外からの電話の応対、その間にキッチンで立ちながらのランチ、早朝に来て続きの仕事とか(5時に起きているそうです)休みのない働きぶりの中で、我々のために時間を作ってくれて、ビデオの解説や質問への応答をし、また、自分のセラピーセッションの中へ我々を入れてくれて、後で質問の相手や説明までしてもらっています。まるでプライベートレッスンのような感じです。モニターテレビとセラピールームの間は日本の屏風が一枚置いてあるだけです。セッションの途中で、屏風の後ろの自分達に、「あなたたち出ていらっしゃい。ここで(クライアントの目の前で)チームカンファレンスをしましょう。」という事があって、エッ!という体験をしました。

スティーブもインスーも、徹底した1人1人の解決能力への信頼哲学に基づいた、実に細やかに配慮した質問を行っている気がします。モニカは、インスーの多忙さを気遣いながらも、自分の聞きたい事、してほしい事は、はっきり意思表示していますが、私のほうは、世界中の多くの人たちと共有しなければならないスティーブとインスーの時間を占有している気がして、申し訳ない気持ちのほうが先に立ってしまいます。彼女は「あなたが、普段生徒にしているのと同じことよ。ノープロブレム」などと軽く行ってくれますが、2年前のアクセプタンス・レターの感動的な暖かさから始まって、こちらに来てからの分け隔てのない、一つも恩着せがましくもない、信じられないくらいの親切に戸惑ってしまうほどです。この人たちにであった人々は、きっとすぐに人柄に魅せられる事と思いますが、ますます、特に彼女が忙しくなって健康に影響するような事がなければ良いなと、願っています。インスーは「趣味はワークよ」と軽くいっていますが。

なお、私の事はNishikawaではなく、Kazuと呼んでもらうようにしているのですが、皆さんカズとは、なかなか旨く発音してくれません。クズとかケェズとか呼ばれています。

BFTCでは、まだほんの少ししか時間を過ごしていませんが、たくさんの経験をしました。この後にも更にまたたくさんの新しい経験をする事と思います。今まで経験した事や、インスー達が提供してくれるものを、すべてお伝えするには、吸収能力に不安がありますが、うまく皆さんにお返しできたらと思っています。

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