AndInstead1997.12

慶応義塾大学大学院社会学研究科/中野区女性会館

分部 りか


    ワークショップの会場は、目一杯埋まり、熱気でむんむんしていました。
Insooは、H女子大のH木先生とTB大に今年移られた私の恩師W辺先生を足して2で割っ
たらInsoo。というような外見で、とっても気さくな感じ... Ivonneは、Insooのお弟子さんだそうで、ダイアン・キートンに似ていた。おふたりともホントステキだったし、二人のコンビもまたいい感じだった。

    さて、さて、ワークショップはというと...

虐待へのアプローチというタイトルだったが、参加者のみなさんはきっと、虐待に対してSFAはどうアプローチするんだろうかという思いを抱いていたのではないかと思う。かくいう私がそうだった。でも、このワークショップで、私は悟った。そういう思いを抱いてしまうこと自体が、SFAの虐待に対する効果を下げてしまう、ということを。クライアントの人生の中で『S/he is victim.彼女・彼は被虐待者である』以外のたくさんの部分を引き出すこと。彼女・彼は、被虐待者である以外に、親であり、職業人であり、友人であり、切手蒐集家であり、そう、and・・・and・・・and・・・andとずっと続けられる。虐待に対しても、SFAの原則と前提をそのまま持ち込むこと。それだけ。そう、実にシンプルです。

    お二人が私に教えてくれたのは、『S/he is victim.彼女・彼は被虐待者である』以外のたくさんの部分の存在を、セラピストが心の底から信じているということを言葉を通して、きちんとクライアントに伝えていくこと。お二人が、『他には?』の質問をするときのあの優しく穏やかなスマイルに抗して、『Nothing.』と言い続けることのできる人はそうそういまい。うーん・・と必死にI'm victim.以外の自分を考え始めてしまうだろう。著作からは、Insooの、声のトーンや、表情や、身振り手振りは伺えないけど、実際見るInsooのそれは、彼女が、心の底から、その質問をしているという様子がワークショップでさえ、よくわかった。これが本当のセッションだったら、もっとそうなんだろう。

    ワークショップのいいところは、実際の雰囲気がわかり、そして質問ができるということ。虐待に関する質問で虐待の取り巻く状況は、米国と日本では違うと言わざるを得ない。Insooも、日本の状況に対して、難しいですねと共感を示しつつ、いくつかのアイディアを私たちに授けてくれた。日本で児童虐待が発見されたとき、一番多い親の反応は、『これはうちのしつけです。』その場合に必要なのは、まず親の立場にたつことから始めること。『難しいお子さんですね。どんなふうにその難しさに対応しているんですか?』『・・・たたくしかないんです。』『そのことはお子さんをしつける時、どんなふうにうまくいってますか?』『・・うまく行ってないんです・・』そこからたたくかわりにできることを一緒に考えていけばいい。そう、たた
くのをやめさせるのではなく、たたく代わりにinstead of beating ・・・なにをするかを一緒に考えるのだ。

    英語の話せない私は、お二人にI'm glad to meet you.I'm happy.としか言えなかったけど、次にお会いできる時にはきっとこう言おう。"Thanks to you, instead of searching for problems of my clients I do believe their solutions. "

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