以下に紹介いたしますのは、「『解決のための面接技法 第2版』韓国語版」に送る言葉 としてインスーが20048月に韓国語への翻訳版に寄せたものです。

 韓国版を手にして訳してみましたが、その作業を進めながら、私(金 光姫)はなぜか涙が止まらぬほどの感動をしました。ソリューションフォーカストにかけたインスーの深い思いに触れることができたからだと思います。つたない訳ですがご紹介いたします。

 

 私が1957年にアメリカに行くために韓国を旅たった頃、当時、韓国は戦争によって荒廃した状態
でした。そして私は、見知らぬ国での不確実な未来を目の前にした不安にふるえながら、重苦しい
気持ちで旅立たなければなりませんでした。目には涙をしたため、将来、どの様な出来事があるのか
全くわからない状況のなかで、ただ奨学金を受けられるだろうという約束だけを信じて旅立ちました。
それから
47年が過ぎ、私はいつしか人生の末年に足を踏み入れました。

 お金もなく、持っている財産もほとんどないような不安でいっぱいの状況から、重い足取りで韓国
から旅立った時には、私は、自分がしている現在のこのような仕事をまさかやり遂げられるとは全く
考えることができませんでした。今まで、小さいけれど、それでも私がやり遂げられたのはすべて、
幼い時期に一生懸命に働き、忍耐強く、可能な限り最高になるようにと教えた韓国の厳格な教育に
よって可能となったのです。私は韓国で、希望・信頼・根気、そして放棄しないことの重要性について
学び、これは私が今までもっとも大切にしてきた遺産です。私が学んだことのなかで最も重要なのは、
根気です。人間の強靭な精神、そして根本的に善の心を持った人間に対する信頼でした。

 「解決のための面接」の第2版はまさに、この様な、根気、そして一時は見知らぬ国であったアメリカで、
私がこれまでにあふれるほどに受け取ったものを、もう一度、地域社会にお返しし、他の人々にもお渡し
したいという望みから始まったことです。多くの人たちは私を信じてくださり、私に希望を下さり、
私自身を信じるよう教えてくださいました。私の考えに影響を与え、今日の私になれるように影響を
与えてくださった多くの人々の助けがなければ、すべて私がいままでやり得て来たことはできなかった
でしょう。
 私が数十年間、友達として、同僚として、メンターとして、そして来談者として、出会えたすべての
立派な方々への感謝の思いは、言葉ではすべてを表現しきれません。その方々は、私が、人の中に内在
している善良な姿をくみ取る方法と、人生のなかで経験するあまりにも多くの苦痛と不幸の中にあっても、
持ちこたえる方法があることを教えてくださいました。

 この本は私にあまりにも多くのことを教えてくださった人々に対する信頼を表現するために書かれました。
この本はまた、彼らが出会う見知らぬ人たちの苦痛と重荷を少しでも減らし、この世が、私たちが初めて
足を踏みだした時よりも、少しでもより生きやすいことを願う人々のために書かれました。この本は互いを
尊重するための方法、あるいは対面しないかもしれない人を信じる方法についても述べています。そして、
その人々には、自らの人生を実現させ、苦痛に満ちた一日一日を自分なりの品位と慈愛心を持って生きて
いける能力があるのだということに対する信頼
を示しています。

キム インスー 2008.4

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